いざ沖縄移住⑥ 運命の出会い
無事に退院をし、2週間の自宅療養。
身体の調子もだいぶよくなってきたところで、
近くの飲み屋で出会ったお姉さんが
「復帰祝いで男前がいるところに行こう!」と
連れ出してくれました。
そこは薄暗いゲイバーで、
サラリーマン同士の摩擦臭とは違い、
甘い香りが店中を包んでいました。
少したって一人の男性が現れます。
「拓哉くん」の登場です!
→ はい、ここから沖縄移住が加速します。
拓哉くんはお姉さんの元々の知り合いで、
それから朝まで一緒に飲みました。
整った顔立ち、鼻にかかった声、清潔な白いシャツ、
すぐにクギ付けです。
朝方一緒に帰り、簡単な自己紹介をしました。
拓哉くんは、
私より6歳年上で大阪生まれ。
少しばかり有名な音楽大学でオペラを専攻しNY留学、
そこから世界で歌を唄ってきた。
数年前に亡くなった父親の会社を継いだが、
不況の煽りですぐに畳み、海を求め沖縄に移住。
しかし数カ月前に病気をしたことで帰阪。
今は私の家から近い場所でたこ焼きバルを営んでいる。
そして、恋愛対象は「男性」とのこと。
部畜から社畜に進化を遂げただけの私には、
眩しすぎるプロフィール。
彼の横顔に降り注ぐ朝焼けよりも輝かしい。
「羨ましい」気持ちが「憧れ」になり、
「憧れ」を「恋」だと思い、
そんな拓哉くんに恋をすることで、
自分のプロフィールも輝かしいものになるだろう。
そう思っていました。
そして私は、拓哉さんの【虜】というより【畜】となる。
私は「社畜」から「拓畜」(拓哉畜)へと華麗に進化を遂げた。
会社に復帰してからも、
夕食は、週1、3日に1回、ついには毎日一緒にいました。
「目の前のひとつことに必死である事が美学」の私。
社畜と拓畜の共存ができるはずもなく。
この頃、何の仕事をしていたのかほとんど記憶にありません。
2カ月ほどたった時、
拓哉くんは「沖縄に帰ってたこ焼きバルを営みたい」と泣き、
そして出店費用を貸して欲しいと頭を下げました。
拓哉くんがお金に困っていることは気付いていたし、
そういう流れになる事をずっと前から知っていた気がして、
そう言ってくれる事を少し期待もしていました。
私は150万円を拓哉くんに渡し借用書にサインを貰いました。
「初めての大きな買い物」の感覚でした。
振り返ると、「一生懸命働いている事の意味」を
「病院の個室で過ごす時間」から「大切な人の夢のため」へと
塗り替えたかったんだろう…
→痛い、痛すぎて思い出すのも辛い。。。
拓哉くんは「ありがとう」とは言わず「本当に助かる」と言って
私が一生懸命働く意味を持って1人沖縄に移住しました。
● 拓哉くんに貸したお金
現在のトータル→150万円 (チャリーン¥)
【次回への備忘録】
私の一人沖縄旅行と退職を書く。